私は税理士であり、確かに税務会計の専門家ですが、事務所の経営者という意味では皆様と同じです。
独立開業した時の不安な心境を今でもはっきりと覚えています。当初は、顧客0件、職員0人、事務所も
アパートの1室からのスタートでした。そんな中でも、必要な商売道具は金融機関から借入をして揃えました。
この借入、返せるのだろうか・・と思いながら買ったパソコンやプリンター、サーバーなど備品の値段を今でも
忘れていません。一番思い出に残っているのは業務用電話機です。ふらっと立ち寄った中古屋で見つけた10台の
電話機セット。中古とはいえ、ほとんど使用されていない掘り出し物でした。職員がいないのだから10台も
電話はいらない・・それでも、いつか必要になる!と信じて値切って購入しました。当時は人間の数よりはるかに
電話機が多くて笑い話にしていましたが、今では追加で買わなければいけなくなり、誠に嬉しい限りです。
また兼ねてからの目標だったオフィスビルへの入居も開業3年目で達成しました。それも開業時からここに入る!
と決めていた場所を借りることができました。よく同業者からも拡大の秘訣を聞かれることがありますが、
なりたい姿を強くイメージして実行したことにより実現してきたとしか言えません。あえて言うならば外部に向けて
「それはできません」を禁句とし、まずは仕事を引き受け理想に近付けるようにしました。来る仕事は基本的に
断らない、それによって成長の機会を得ることができました。
(そのせいか、事務所の専門分野は何ですか?と聞かれても冗談で「専門分野がないことが専門です」と答えることになっ
ていますが・・・)
また内部においては、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」の言葉を
行動原理にしたことです。これは税理士としての知識や技術はもとより、経営者として、ここで働く職員をいかに
大切に思うか。決して甘やかすという意味ではなく、一人一人が誇りを持って仕事をしていける環境をつくることに
努めています。それでも日々、いろいろな出来事が起こりますが、日常のささやかな気づきが、そのまま貴重な
アドバイスになったりもするようです。私達は会社のお金の流れや、様々な事情を知ることができます。
それでいて友人のように近すぎる存在ではありません。そんな私達をうまく活用して腹を割って気楽に相談できる
パートナーとして考えていただきたいと思います。